小さな神社ではありますが、歴史はかなりのものです。
これからも、ずっと地域の方々に親しまれていくような神社であって欲しいと、
そんな願いを込めて「濡れ縁の改修工事」を行わせて頂くことにいたしました。
先ずは現状調査です。
当時の大工職が、
各部をどのように収めているのか細部に渡って調査していきます。
各部の断面寸法は・・・? 材と材の仕口は・・・? 床板の勾配は・・・?
この大工仕事に燃えている者は、弊社の「鉋(カンナ)侍」こと海野友徳です!
弊社の加工場に、とびきり良質な檜材が搬入されるや否や、
早速墨付け作業に取り掛かりました。
関根も海野の指示のもと、各部の仕口を仕上げていきます。
天気予報によって、雨の降らない日が何日か続くことを確認し、
先ずは既設の濡れ縁部分の解体作業に取り掛かります。
今では、各部の接合方法として『釘やビス』が多用されるようになりましたが、
接合金物に頼ることなく各部が組まれていることに感心しました。
・・・ならば、今回の改修工事においても、
その収まりを忠実に再現しながら各部を納まていくことに徹していきます。
解体作業が完了し、続いて『墨出し作業』です!
経年変化によるものなのか、建物本体はかなりの『歪み』が生じているため、
新規の濡れ縁と、その本体を結合するためには精密に墨出し作業をしながらも、
各部の取り合いは微妙に「加減」が必要となります。
『古き材』と『新しき材』を結んでいくには・・・
『計算』どうりには行かないのであります。
それこそが、大工仕事の醍醐味なのかもしれません・・・。
束柱の一本を決めるのも、要は『真心』なんです・・・。
この神社のお宮さんが末永く地域の方々に愛されるよう願いながら、
各部を計算値だけでなく真心込めて建て込んでいくのです。
若い関根には貴重な体験だったことでしょう・・・。
楔(くさび)一つを納めるにも、
『何が』肝心なのか、今回の仕事で学んでくれたのではないかと思っています。
『材』と対話しながら組み上げていく大工職の醍醐味を、
これからの仕事の中にも見つけ出し、誠実な仕事に徹してほしいなと思っています。
床板を載せるための桁も既設建物に取り付け、いよいよ床板張りの作業です。
厚み60mm(二寸)の分厚い板を張り込んで行く作業に取り掛かります。
先ずは、
先輩の海野が手本を示すかのように、張り出しの一枚を取り付けていきます。
続いて二枚目の板を・・・。
板材と板材は、『雇実(やといさね)』と云う実加工を施してあり、
その溝に、堅木の欅材で作った目地棒をはめ込んでいきます。
硬い欅材で作った目地棒が檜の板材と板材をしっかりと結合していくのです。
まもなく完成!一番端部の板材を張り込めば完成です!
はい!朽ち果てていた床材が蘇りました!
これで近所の子供も安心してこの濡れ縁上で遊ぶことが出来ます!
小さな地元の神社ではありますが、これからも地域の方々に親しまれて、
永いながい歴史を刻んでいってほしいなと思っています。
『木』と『木』を組み上げていく大工仕事は、『真心』が大切!
これからも誠実な仕事に徹していきます。
『・・・海野よ!そして関根よ!お疲れ様!』
はい!二礼二拍手一礼・・・。