時代の重さを感じます! S邸屋根改修工事
旧家の屋根改修工事 駿河区S邸
静岡市駿河区にありますS邸の屋根改修工事の途中経過をご報告させて頂きます。やっとのことで台風4号も東海地方を通過し、これで漸く梅雨明けか!?という期待も空しく雨の多い一週間(7月17~21日頃)でした。そんな梅雨空と『にらめっこ』をしながらのS邸の大屋根部分の改修工事となりました。
先ずは既設の瓦を一枚いちまい剥がしながら撤去していくのですが、数量が半端じゃありません!S邸の屋根面積は400M2に達するのではないかと思うほどの超ウルトラ級!『永建さん!(解体業者の皆さん)張り切っていきましょう!午後一からは大工さん達が新しい屋根下地を張り上げていくのですから!』
既設瓦の下には土葺きされた土がこんなにもテンコ盛り!今回の工事で土葺きされた土は全て撤去します。この土を撤去するだけでも屋根の軽量化は以前よりもかなり向上することでしょう!(耐震性も屋根が以前よりも軽くなった訳ですからUPします。)
やっとのことで土葺きされた土を降ろしたのですが、お次は『杉皮です!』幾重にも重ねられた杉皮は竹材にて一定間隔を保ちながら止めつけられていました。
現在のように屋根下地に使用する防水性の高いアスファルトルーフィングがこの時代に存在していれば、屋根下地工事にこんなに手間は掛からなかったことでしょう。
しかし私には、当時の職人さん達が御施主様のために『いい家』を目指して精一杯頑張って働いていたその気持ちが実に良く伝わってくるのです!簡素化・合理化が進んだ現代の工法とは比べ物にならない手間の掛かった仕事であります。
当時の職人さん達の一人ひとりの『家造り』に対する熱い思が、今も旧家S邸を支え続けているんだな!と感じます。古くなったから取り壊して新しく建て直すのではなく!『家とはずっと守り続け継承していくもの!』そんな心意気を今回の工事を通して教えられたような思いがします。
午後の作業は屋根の垂木(タルキ)の勾配を調整(小屋束の高さ調整等)しながら屋根下地板を張り込んでいきます。屋根勾配もご覧の通りの急勾配!私も工事記録の写真撮影の為屋根に登っていたのですが、急勾配の屋根に立っているだけで足の脹脛(ふくらはぎ)がピリピリと張ってきてしまいました。
夕方近くにはだいぶ雲行きも怪しくなって来ました。急いで屋根下地板を張り込み、フェルト下地を敷き込まなければなりません!【・・・・天気予報では明日(7月21日)も雨のようであります!】
漸く屋根下地も完成しました!今週からは破風板等の取替作業や新規の瓦工事の段取りが始まります!(新しい燻し瓦は淡路瓦に決定!しました!葺き上がりがとっても楽しみです。是非完成したS邸の姿もこのブログにてご覧になってくださいね!)
余談ではありますが版画家の海野光弘さんをご存知ですか!?海野さんの遺した作品は本当に素晴らしいものばかり!ただただ感動するばかりです。私が大好きなのは『縁通し』という作品です!旧日本家屋の素朴な美しさが非常に良く現れていてとっても心が癒されます。
S邸の縁側からの庭の眺めは最高ですよ、海野光弘さんが『縁通し』の作品の中で描かれていた通り抜けていくさわやかな風を感じることが出来るのです!S邸の改修工事を請け賜りすっかりこの家の魅力にはまってしまいました。こんな素晴らしい日本家屋がいつまでも生き続けることが出来る様にと私も微力ながら頑張っていきたいと思っています。
この記事へのコメント
安冨白土瓦様へ おはようございます。
安冨白土瓦様!コメント頂きまして有難うございます。
こちら東海地方では三州瓦の方が知名度としては高いのですが、弊社では20年以上前から淡路瓦で施工させて頂いています。(淡路瓦は、何年経っても葺き上げ時の美しさが衰えることがなく色ムラの発生がないのでとても信頼して採用しています)
淡路瓦を製造されている方からコメント頂けるとは!本当に光栄です。
いつか私も燻し瓦の本場・淡路に行ってみたいなと思っています!(淡路瓦粘土彫刻の体験教室!・・・そんな体験がしてみたいです!)
『はい!・・・日本の伝統を守って行きたい!と私も思っています。』
淡路瓦の素晴らしさをもっともっと全国に広めて頂きたいと思っています。暑い夏がやって来ますがお体の調子を崩すことなく頑張ってくださいね!
淡路瓦の製造の傍ら、淡路瓦粘土彫刻の体験教室なんかも運営しています。
淡路瓦の採用ありがとうございます。もしかして、うちの商品も採用されているかも?!
それと、今でも杉皮を求められる方もいるみたいですよ!
日本の伝統文化は守って行きたいものですね。おたがい頑張りましょうね。