木造住宅の耐震補強工事 (壁の補強工事)
木造住宅の耐震補強 内部も外部も耐震壁で剛性UP
K様邸耐震補強工事は大きく分けて『屋根の軽量化工事』と『耐震壁の施工』とに分類することが出来ます。前回は屋根の軽量化についてご報告させて頂きましたので今回は『壁の補強』についてご報告させて頂きます。木造住宅の壁を耐震上補強する方法は、『筋違(すじかい)による補強』と『構造合板による補強』とに分類出来るかと思います。(場合によっては両者を併用することもあります。)
K様邸の壁補強には『構造合板による補強』を選択いたしました。筋違(すじかい)による補強も優れた点があるのですが、柱・梁との接合部に地震等の外力が集中的に加わり、一箇所でもその部分が破損してしまうとたちどころに耐力が損なわれる危険性があることから、『構造合板』をはりあげて『面構造』として地震の揺れを防ぐ工法を選びました。(地震等の外力が一箇所に集中せず、力が分散されるので、老朽化した木造住宅には筋違(すじかい)による補強よりも適しているかと思います。
最初の写真が工事前の状況です。二間続きの和室の南側部分は特に耐震上有効な壁量が不足している部分なのであります。先ずは畳を撤去します。構造合板によって床下の『土台』から天井上の『梁(はり)』まで張り上げなければなりません。柱そして梁・土台が構造合板を張り上げることで『面構造』として地震の揺れに対抗してくれます。
防塵マスクをした当社の海野が床板を丁寧に剥がしていきます。骨組み(木軸)だけの状態になるまで埃だらけになりながら黙々と解体作業に取り組んで行きます。木軸だけの状態になったところでお施主様にも立合って頂き既設の土台や柱・梁の状態をチェックします。床下の土台および束等は腐りが酷く再使用出来る状態ではなかったので全て入れ替えることとなりました。既設の木軸が『こんなにも傷んでいたのか~!』と御施主様(K様)も驚いていらっしゃいました。この当時の木造住宅の基礎内部は換気状態も悪く、『木』が床下の湿気の影響でボロボロになっていることが多分にあります。
二間続きの和室(南面)の中間部に柱を増設し耐震壁を施工します。部屋の内側も外側も厚み12mmの構造合板を張り上げていきます。こうすることによって『壁倍率5』と言う耐震上非常に有効に働く耐震壁を施工することが出来ます。張り付けた構造合板に均等に地震等の外力が分散するように、留め付ける専用ビスの間隔等も厳密にチェックしていかなければなりません。工事が完了し仕上がった時にはまったく見えなくなってしまう部分だからこそ精密な施工が要求されます。施工チェックは各工事担当者と私(寺田雄一)が必ず行なう作業なのです。
『屋根の軽量化』&『壁の補強』によってK邸は以前よりは、地震の揺れに対してかなり強くなったことと思います。『TOUKAI-0』の耐震報告書の総合評点も施工前の『0.29』から施工後(補強後の耐震精密診断報告書に記載された数値)の『1.13』と向上!地震時による倒壊の危険性は大幅に縮まったと考えられます。今回の工事で耐震上計算外の部分にも(外部に関しては、1階から2階まで全て構造合板施工とする)合板貼りを施工し、内部に至ってもリフォーム範囲は全て既設壁を補強いたしましたので数値以上の耐震効果が期待出来ると考えています。木造住宅の耐震補強工事は非常に地味な作業ではありますが、そこに住まうお客様方の命を守れるような丈夫な家に補強するために精一杯頑張って行こうと考えています。